抗てんかん薬と一緒に生きる〜当事者の気持ち〜【女性と妊娠と催奇形性】

脳卒中後遺症
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こんにちは。

障害当事者(右片麻痺・高次脳機能障害・てんかん等)のさやかと申します。


今回は『てんかんと女性のライフステージ』について書いていきます。



25歳で発症して現在42歳。
てんかんについては、女性として本当に悩む場面が多々ありました。



その部分や経緯を書いていければ、と思っています。



いつも通り前置きが長いですが、お付き合いください。







抗てんかん薬と催奇形性


薬処方するならちゃんと説明して〜〜!




本当にこの一言につきます。↑↑↑



抗てんかん薬の一部には催奇形性が報告されています。




催奇形性

妊娠中の女性が薬物や化学物質、放射線などによって胎児に形態的異常をおこすリスクのこと。


具体的には、無脳症、二分脊椎、口唇口蓋裂などなど。



日本神経学会のリンク、貼っときます。




催奇形性が報告されている抗てんかん薬として、バルプロ酸(デパケン等)が挙げられます。
(前者が「一般名」、後者が「商品名」商品名は他もありますが代表してデパケン等にします)



私も長期間、服薬していました。


最初に処方されたのがバルプロ酸(デパケン等)だったのですが、催奇形性に関する説明は一切無かったです。



もう本当にさ〜〜〜。


先生!
この先、妊娠する可能性がある人に説明なしで処方しないで
〜〜!!



と、当時(発症時)に戻れるなら、言いたい。





注意

バルプロ酸(デパケン等)とても効果の優れた薬です
(全般てんかんに対する第一選択薬)





「デパケンじゃないと発作でる!コントローラーできない!」
という方、絶対いると思います。


てんかん患者は「てんかん発作がでない」ことが一番大切なのことだと思う。





だから悩む。











私の服用歴



私の薬に関する年表を下記にまとめました。

 年齢 
25歳脳出血発症。開頭手術2回。
この時点で抗てんかん薬(デパケン)を処方される。
26歳怠薬して電車内でてんかん発作。増薬する。
発作なし。
30歳転院する。
転院先のDr.が「葉酸も取らなきゃ!」と。
葉酸処方&デパケン減薬開始。
発作なし。
39歳妊娠する。不安でいっぱい。流産。
40歳引っ越し。それに伴い転院。
デパケン中止。イーケプラ処方。
現在夫の仕事の都合で引っ越し。それに伴い転院。
処方はそのまま(イーケプラ、葉酸)。


バルプロ酸(デパケン)は長い間、お世話になっていました。



当初はバルプロ酸(デパケン等)を服用していましたが、転院先のDr.が
「今後のことも考えて、葉酸も摂りましょう!」と、葉酸処方。


そして長い長い減薬の旅、スタート。


(私の場合、減薬にはとんでもなく時間かかった!)





【補足】
「服薬をやめる」ための減薬ではなく、
「ライフステージのあった服薬(変更含む)」のための減薬。

 








バルプロ酸(デパケン等)と葉酸







全ての女性もそうですが、
抗てんかん薬を服用している女性にとって葉酸摂取が重要と言われています。

多くの抗てんかん薬は葉酸濃度を低下させ、低葉酸濃度は催奇率の増加と関連する可能性がある

てんかん学ハンドブックより引用



服薬によって葉酸濃度が低下することがあるため、バルプロ酸(デパケン)葉酸がセットで処方されることが多いようです。




バルプロ酸(デパケン等)飲み始めたときは、催奇形性のこと・葉酸濃度が低下することがあることを、しっかりと理解していませんでした。




転院先のDr.に減薬・葉酸処方を推奨されたことで、服薬することのメリット・デメリットやこの先のライフステージを考えないといけない、と強烈に感じました。


男性の方は葉酸って何?と思うので少し説明。
ビタミンB群の一つで、細胞の成長を助ける栄養素。
胎児の神経菅(脳や脊髄)の形成に不可欠な栄養素。


妊娠初期は胎児の脳や脊髄が形成される重要な時期で、妊娠中の女性に葉酸摂取が推奨されています。












女性のライフステージと服薬調整の複雑さ



デパケン服薬中の妊娠。生んでもいいのか。育てられるだろうか。




39歳のときに妊娠しました。



結果としては流産だったのですが(書きながら未だに涙がこぼれる・・・)、
妊娠中もパルブロ酸(デパケン等)を服用している状態。

25歳から服用を始めて、30歳から徐々に減薬してきてはいました。


子供を産むか産まないか
考えがまとまらない内に予期せぬ妊娠もあると思います。

だから準備してきました。

それでも不安でした。




(障害があったらどうしよう)

(二分脊椎だったとしたら、排尿・排便コントロール難しいな・・・)

(失禁して恥ずかしい思いをするのかもしれない)

(小学校入学までに自己導尿のやり方を・・・)

(社会モデルの障害は「障害は社会が作りだすもの」だけど、まだマジョリティが便利と思う世の中だと思うから、生まれた時からこの不便さを味わうのか・・・)


と、思うのです。




障害は不幸ではない。
だがそう思えないほどの困難にさらされた時を想像してしまう。






私の場合は発達分野の作業療法士という経緯があるから、例としてあげた「二分脊椎」のお子さんの生活の想像ができますが、通常はそうではない。

通常は見通しが立たない。




また、抗てんかん薬を服用している女性の「妊娠」や「産みたいという意志」のついて、家族含め周囲は喜ばないこともあります。




妊娠するずっと前からも、
妊娠中も、
言いようのない不安ともどかしさを心に内包している。













現在女性としての困惑さもある




『現代女性のライフサイクルの木』というものがあります。


現代女性のライフサイクルとこころの危機(岡本祐子著):「個」と「関係性」からみた成人女性のこころの悩みより出典




この『現在女性のライフサイクルの木』は、
以前、障害者職業センターで職業評価を受け、そのフィードバックの際に知りました。



その時の様子はこちら。








女性はいつ・どんな人生を選択するかを迫られる。

出産・育児でキャリアの見通しが立てない。

その道を選択しても困難さ、葛藤がある。


以前の記事より。





めちゃくちゃ共感してしまう。
特にこの部分。



「挙児を希望している」
「いまは希望していないけどいつかは子供がほしい」
「まだ分からない」
「産まない選択をした」

いろんな考えがあると思います。

人生の選択肢をそう簡単に決められないし、自分ひとりでコントロールもできない。



そんな女性の人生に、抗てんかん薬や障害のことがのっかってくる。









重い












当事者の思い



伴走してくれる支援者と対話したい




脳出血発症して、初めててんかんという病気が身近になりました。

発症したのが25歳だったので、すでに妊娠可能な身体です。





前述しましたけど、処方時や落ち着いた時期に薬の説明・・・

妊娠に関するカウンセリングがほしかったな〜と。




妊娠を希望している方にも、そうでない方にも。
全ての女性に。



たぶん説明しないDr.のほうが稀だと思いますが・・・





知らないままだと、その情報にリーチできない。
きっかけがないと自分で調べようと思わない。


その「きっかけ」となる部分を作るのが、
この先、一緒に伴走してくれる支援者であってほし
い。



個人個人にあった情報のアウトリーチがほしいです。


アウトリーチ

さまざまな形で、必要な人に必要なサービスと情報を届けること。


アウトリーチについてはこちら。










抗てんかん薬は相棒



やっぱりてんかん患者にとっては、抗てんかん薬は相棒です。



飲むのを忘れてた時のあの絶望感。
怖すぎて怖すぎて。

「またあんな苦しい思いをするかも?!」と、とてつもなく不安になり、その日の仕事・日常の作業に手が着かなくなります。


タイトルにも書いていますが、生を終えるまで一緒に生きる相棒です。





当事者としての意見をこれまで書いてきましたが、
医療の立場からば何も言えない・・・


と思いましたので、相互フォロー様のポストをご紹介します。





分かりやすくて感動です。









終わりに。




私は元・主治医から「適切な治療を受けて、出産した人いっぱいいるよ」と言われ、とても安堵したことを覚えています。



「妊娠・出産することを肯定的に捉えてくれている」と感じ嬉しくなりました。




ネットで記事を書いている私が言うのもなんですが、

玉石混交の情報の中で自分にあったもので選択することは、とても難しいと感じます。

SNSなどの情報に振り回されて、妊娠・出産を諦めてほしくないと思います。


私のこの記事も「こんな人もいるんだな〜〜」と軽く思って読んでいただけると幸いです。






しめの言葉が弱いですが、終わり。
では。

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