高次脳機能障害、学術用語と行政用語の違い。

社会福祉
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こんにちは。
作業療法士×片麻痺・高次脳機能障害当事者のさやかです。

このように書き出す事が多いんですが、
私自身の障害のことを、このブログでは「片麻痺・高次脳機能障害」と言っています。
しかし、高次脳機能障害の診断は受けていません。
そのため行政サービスの場では、「高次脳機能障害がある」とは言いません。
私の中では理由があって使い分けしているのですが、このブログを読んでいる方が、
「ん??」と不思議に思っているかもしれないので、「高次脳機能障害」の言葉について書きたいなと思います。







学術的と行政的の違い


高次脳機能障害という言葉は、学術的用語と行政的用語では少し意味が違います。

学術用語としての「高次脳機能障害」


脳損傷による、失語・失認・失行を含む認知障害を、学術用語での「高次脳機能障害」となります。
私自身は失語症です。


失語症は学術的には高次脳機能障害ですが、行政的は高次脳機能機能障害ではありません。



行政用語としての「高次脳機能障害」


行政的な高次脳機能障害とは、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害の4障害です。
簡単に解説。

記憶障害

・新しい出来事を覚えられない
・すぐに忘れる
・ついさっきの行動を思いだせない


注意障害

・ぼーっとしていて、うっかりミスが多い
・同時進行が苦手
・ソワソワと気が散りやすい


遂行機能障害

・優先順位がつけられない
・指示がないとどうしていいか分からない
・計画して実行することが苦手


社会的行動障害

・急に興奮したり怒り出す(時には暴力も)
・自己中心的になる
・欲求を我慢することが難しい



上記は一部の例です。
詳しくは高次脳機能情報・支援センターのHPをどうぞ。

高次脳機能障害の診断基準



診断基準を紹介していきます。

【診断基準】
Ⅰ.主要症状等
1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。
Ⅱ.検査所見
MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
Ⅲ.除外項目
1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが   上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。
2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
Ⅳ.診断
1.I〜IIIをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
なお、診断基準のIとIIIを満たす一方で、IIの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。
また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。

高次脳機能障害情報・支援センターより引用



上記されている除外項目の部分で、
「脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。」

私はそれに該当するのかな、と思います。

発症後、注意のうつりかわりが激しくなったり、一つのことしかできなくなったり、忘れっぽくなったり・・・
私自身、困り感はあるのですが、当時は言葉がでない、文字が書けない、文字が読めない、計算できない、という失語症の症状に大きな困り感を感じていました。

そのため身体障害として手帳を取得しました。
※失語症は、身体障害者手帳の申請対象です。
(でも、更新するにつれて「脳動静脈奇形による右上下肢機能障害」としか記載されていない・・・)



行政的定義が生まれた理由

診断もおりず、手帳ももらえず、支援も少ない



「高次脳機能障害」という言葉が生まれる前から、脳外傷等の受傷後によって認知機能が低下する病態はもちろんありました。
でも定義の曖昧ではあった用語であり、その状態を表すはっきりとした基準がありませんでした。

基準や枠組みが無い状態だと、

◉自分の状態・家族の状態を診断名を添えて、言語化して周りの人に説明しにくい
日常生活・社会生活で困っている一見「障害のない人」ので周りの人に理解されにくい
◉身体障害が無い場合、身体障害者手帳は取得できないため手帳による福祉サービスは受けれない
◉診断基準、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立していないし、一貫していない


という事象が起こってしまいました。


高次脳機能障害支援モデル事業が開始


高次脳機能障害に対する包括的な支援を確立するために、2001~2005年の5ヵ年計画で「高次脳機能障害支援モデル事業」が実施されました。
ごく簡単に説明。

前期(2001~2003年)

◉行政的高次脳機能診断基準
◉高次脳機能障害標準的訓練プログラム
◉高次脳機能障害支援ニーズ判定票
◉高次脳機能障害標準的社会復帰・生活・介護プログラム


が作成されました。
事例収集・分析し、診断基準や標準的なプログラムが提示されました。


後期(2004~2005年)

前期の成果を活用し、地域の関係機関との連携、各種制度を活用した高次脳機能障害者の生活支援
◉支援センターの設置
◉支援コーディネーターの配置
    など。


診断基準が策定され、高次脳機能障害と診断されれば、器質性精神障害として精神障害者保健福祉手帳の申請対象となります。
手帳を取得すれば、障害福祉サービスを受けることができます。
(※自治体によって、必要な書類に違いがあります。各自、ご確認ください。)


まとめ


学術的高次脳機能障害・・・失語・失認・失行を含む認知障害

行政的高次脳機能障害・・・記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害

高次脳機能障害で精神障害者保健福祉手帳を取得できるようになった

◉障害認定を受けることによって、各種福祉サービスを使えるようになった



最近、ネットニュースで「高次脳機能障害」のいう言葉を見るようになってきましたが、ちょっと分かりにくい用語であるため、高次脳機能障害の学術的用語と行政的用語の違いを書いてみました。



症状が複合的で、一人ひとりの状態が異なります。外見上、分かりにくいこともあるため、言葉・用語で割り切れるものとは思いませんが、用語の違いや経緯を知るのも、自分の中の状態像を明確に言語化できるのではないかな~と思いました。


最後に、各都道府県に高次脳機能障害の相談窓口のリンクを貼っときますね~。

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