【道具が使えない?】失行症について

脳卒中後遺症
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こんにちは。
障害当事者で元・作業療法士のさやかと申します。


2009年、当時25歳のときに脳動静脈奇形(AVM)による脳出血を発症しました。

その後遺症で右片麻痺・高次脳機能障害・てんかん等が残存しています。




このブロクは、後遺症や社会福祉、障害者の日常を綴った記録です。



今回は「失行」について書いていきます。



以前アメブロで書いたものの書きかおしですが、

以前の失行の記事の内容が『ザ!世界仰天ニュース』に取り上げていただきました。






失行とは


失行(Liepmann)

運動執行器官に異常がないのに、目的に沿って運動を遂行できない状態である.


失行症とは、運動麻痺等がないのに目的がある動作できない状態です。




右麻痺の方に多く見られる症状です。





道具が使えない



私の場合、自分が勤務していた病院で勤務中に発症し、
出血量も多く、そのまま緊急手術になりそのまま入院になりました。


血腫除去術後、1週間程は意識はない状態でした。


その後、意識が清明になっていきましたが、リハはベッドサイドで行っていました。


まだ私の心情がぐちゃぐちゃで担当患者さまとちゃんと笑顔で顔を合わせることが出来ず、少しの間ベッドサイドリハを行っていました。


リハが終わるともう寝てばっかり。
何もすることがない。というか何もする気が起きない。

でも、その日はTVを見ようかな・・・と思いました。



リモコンを左手に持った。(右手は麻痺手なので)



あれ・・・ここからどーする???
使い方わかんない・・・
え・・・どうしてたっけ?




どうやってリモコン使おうと考えた瞬間、猛烈に脳の左半球が熱くなります。



こうもガッツリ出るとは・・・。
失行症。


他にも、
スプーンもフォークも歯ブラシも櫛も、使えない。



使えたとしても、誤った方法で使ってしまう。



牛乳パックにフォークをぶっ刺した瞬間に、


「あっ!!わたし、失行になってる!!!」


と我に返りました。



目的の行動が遂行するには、注意機能が不可欠です。

どこから失行症で、どこから注意機能の低下・亢進(高ぶること)の状態なのか・・・


とても複合的です。

「注意機能障害」は「注意機能が低下している」だけではなく、亢進している場合もあります。
バランスが大事!!




携帯電話(まだスマホが普及していない時代)も、もちろん使えません。

使えたとして失語があるため、メールを読むことも会話をすることも難しい。




そうなってくると、



この気持ち、どこにぶつけたら??!」

となります。



悲観したり常にイライラしていたり・・・

あの頃は心が忙しかったです(笑)




入院3ヶ月程になると表面上、目立った失行の場面はなくなりました。

17年目となった現在、「ほぼ」ありません。

この「ほぼ」の部分・・・まだ少し影響はあると感じています。


新しい、または使用頻度の少ない道具や機器を使うときに困難さを伴ったり、
非麻痺側の異様な不器用さを感じたり・・・


失行症の限らず、錐体交叉や注意機能の影響もあり、何とも言えないのは正直なところです。




錐体交叉とは、大脳から脊髄へ向かう運動神経繊維が延髄で左右に交差するもの。
交差する割合は80〜90%と言われています。(個人差あり)
全てが交差するわけではないため、非麻痺側にも影響が及ぶことがあります。



注意機能についても、今度詳しく体験談を交え書きたい。





高次脳機能障害は様々な要素がある




この道具を使用できない失行は、観念失行というもので、

「日常で」使っている物品の使用障害です。




失行でいっぱい種類があります。

肢節運動失行
観念運動失行
観念失行
着衣失行
構成失行



そこから更に、

力動性失行、口部顔面失行、etcetc

・・・と系統的にカテゴリー分けしているのですが、




失行症は、
「運動麻痺等がないのに、目的ある動作ができない状態」ですが、
学者によって、失行の定義が違ったりします。




「運動麻痺等がないのに、目的ある動作ができない状態」「学習された運動ができない状態」など


いろんな考え方があって、ごっちゃになると思います。





私も学生のときから苦手で


「理解した」と思ったら、それは独りよがりな解釈なんだろうな、と思うぐらい。





何が言いたいかといいますと、

失行症に限らず、高次脳機能障害は人それぞれ。



症状も複雑で複合的なものだから、枠にはまらなくてもいい。
と思っています。

でも、「人それぞれだから〜」で終わりにせず、自分自身の症状・要素をしっかり説明したい。


これは高次脳機能障害の当事者としての意見です。
勝手言ってすみません。





元・作業療法士としては、


上記の系統的なカテゴリーをふまえた上で、
それぞれの症状の要素をバランス感覚をもって評価したいと思います。





綺麗にカテゴリーにはまった高次脳機能障害はないと思います。

脳って本当に厄介。




ただ脳のブラックボックスが、よく分からないところが大きいほど、今後の可能性を楽しみにしている自分もいます。




この記事内の「高次脳機能障害」は、
行政的な高次脳機能障害ではなく、学術的な高次脳機能障害をさしています。










終わりに。



「人それぞれな高次脳機能障害」なので、このブログでは一当事者の体験談でしかないのですが、

今後も一当事者が感じたことを書いていこうと思います。



後遺症や社会福祉について
文章やイラスト(ときどき漫画)に思ったこと・感じたことを発信する目的は、



「なんとなく分かった」
「そうゆう背景があるんだな」
「そんな制度があるんだ」




と、情報を得るきっかけに繋がれば良いな、
分かりやすく伝われば幸いだ、と思っています。


終わり。

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